戸惑いの穴倉
アリスは、穴倉の顔をチラリと見て、舌打ちした。
「ちっ」
そしてすぐに目を逸らす。
その顔には、声には、苛立ちの色が見えて、穴倉は、若干の戸惑いを覚えた。
「……」
普段の穴倉なら気にしないであろうが、今の穴倉はどこか不安定だ。
それは、竜と融合したことも少なからず影響しているのかもしれないが、穴倉自身にそういった自覚があるわけではない。
故に、無意識に何かに依存しようとするところがあり、その対象の一つがアリスなのかもしれない。
そのアリスにトゲのある態度をとられたことが、戸惑いとなったのだ。
「……」
そして沈黙は続く。
穴倉は、自爆し絶命した際、意識がなかった。
お陰で、自爆に巻き込まれたアリスやフォンテスに何があったのか、予想は出来ても厳密には何も知らない。
故に、いくら考えても発展性はないだろう。
なのに、アリスの顔は、声は、態度は、唐突にトゲがある印象となった。
このどうしようもなさが、戸惑いの核なのだ。
トゲのある態度をとったのがフォンテスであれば、どうということはないだろう。
穴倉にとってフォンテスは他人であり、今は敵ではないが、完全に味方と言える様な関係性ではない。
だが、これがアリスとなると、様々な思いや情報が蓄積されている為に、思うところがある。
穴倉なりにこの世界で蓄積された思いがある。




