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能力だけが暴走しとるわ
デシネは黒球の中で死亡していて、黒球だけが巨大化し始めている。
げんなり顔のアリスは、穴倉の方向をチラリと見た。
実際には穴倉の方向を見ただけで、穴倉を直接見たわけではない。
だが、見られたという気持ちが、穴倉に生まれる。
「何? どうしたの?」
そしてアリスに声をかけるが、アリスはげんなりしたままで、明確にものを言わない。
「えぇ~?」
「?」
すると穴倉は首を傾げた。
何らかの言葉がほしかったが、それがかなわなかったからだ。
穴倉はジャン・ジャックを一瞬見たが、特に意識せず視線を外す。
そして次にフォンテスを見た。
するとフォンテスも穴倉を見たところで、両者の視線が交錯した。
「何?」
またしても声を出した穴倉。
視線はフォンテスに向けられたまま。
それを受けたフォンテスが答える。
「お前が火の玉になった時を思い出す」
するとすかさずアリスが続いた。
「本人くたばっとるのに、能力だけが暴走しとるわ」
その目は穴倉に向けられている。
アリスの顔は嫌そうで、やや批判めいている様に見える。
アリスは今、デシネの黒球と、穴倉の火球を重ねて見ているのだ。




