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精一杯の受け答え
ジャン・ジャックの肩には、アリスの顔が乗っている。
肩に広いスペースはなく、当然、密着した状態。
それは、ジャン・ジャックにとっては、心が否応なくときめいてしまうシチュエーションだった。
アリスが言う。
「おう、今、鑑定で見たけどよぉ、デシネだっけ? 確かにあいつ死んでるみたいだわ。 お前、よくわかったな」
鑑定は稀少な能力。
だが、アリスがそんな能力を持っていると示しても、ジャン・ジャックは何のリアクションも取れない。
アリスをおぶり、密着されて話されることに意識が行ってしまっているからだ。
頭がうまく働かなくなってきた。
そう思いながらも、ジャン・ジャックは、アリスへの受け答えを絞り出す。
「自分の能力ですから、体格で、致死量の毒がどのくらいかわかります」
「まじで」
「はい。 医者ですし……」
「医者ハンパねぇな」
「はは……」
アリスの言葉に当たり障りのない言葉を返しているだけのジャン・ジャック。
しかしそれがジャン・ジャックにとっての精一杯の受け答えである。
ガインやフォンテスに対する受け答えと同じにはならない。




