光っとったか?
黒球は鈍い光を微妙に放っている。
そして、ただひたすらに浮いている。
先程までの黒球は光など放っていなかった。
そう思ったアリスは、ジャン・ジャックに訊く。
「おい、あれ何や」
アリスは顎で黒球を指す。
すると立ち上がろうとするジャン・ジャック。
視線は黒球へ。
「はい?」
するとアリスが、ジャン・ジャックの横に来て、うなじを左手で掴んだ。
されるがままのジャン・ジャックは中腰で止まる。
アリスは肩を組んで来た。
そして巻き舌でまくしたてる。
「あんなお前よぉ、光っとったか? さっきまであんな、光っとったか?」
「いえ、光っていませんでした」
「絶対?」
「絶対です」
「まじかよ」
「間違いありません」
医者であるジャン・ジャックは、ものの状態を分析しながら見るのが癖になっている。
お陰でアリスの質問に対し、自信を持って返せたのだ。
肩を組まれ、どぎまぎしながらも、しっかり受け答えが出来た。
(気さくな方だ……)
そう思っていると、アリスがおぶさってきた。
驚きながらも、嬉しい気持ちで、反射的に受け止めたジャン・ジャック。
尻に手が触れぬ様に、脚を抱え持つ。
(っ……! この方の行動は、自由で無防備すぎる)
動揺するジャン・ジャック。
しかし、悪い気は全くしない。
命の恩人が親しげに接して来るのだ。
忠誠心はより募る。




