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知ってたんなら言えや
「あっ」
穴倉らしくない発声は、黒球に突撃したフォンテスを見ていたからこそのものだった。
声に誘われ、アリスもフォンテスを見る。
「あーあ」
フォンテスは黒球に突撃し、触れた拳の先から飲み込まれ、消えた。
少量の髪の毛を残して。
「髪が残っとるわ。 形見っぽく、お前~!」
アリスは嫌そうな顔をしながら、しかし、律儀にフォンテスの再組成をしようと手をかざす。
頼まれたからといって、生き返らせてやる義理はない、とも思うアリスだが、フォンテスは、自分に命を預けて逝った。
そう思うと、放っておくのは何だか気分が悪い。
「組成魔法! ……あれェ? 組成魔法! ……あれェ? 組成魔法! ……ンンンンンンン!?」
しかし、フォンテスは一向に再組成されない。
「ステータスオープンじゃオラ!」
アリスが組成魔法の項目を見ると、組成はある程度接近していなければならないと書いてある。
するとアリスは、穴倉を睨んで口を尖らせ、悪態をついた。
「お前さっき、ジャン・ジャック連れて来たわなァ?」
「ああ、距離が近くないと、お前、生き返らせられないんでしょ?」
「知ってたんなら言えや! 行って来るわ!」
アリスは膝に手を当てて、屈伸を繰り返す。
何故か気合いは十分だ。




