この場にいる女といえば
しかしその感情の色はアリスには伝わる。
好きという気持ちが。
とはいえ、全て詳細に伝わっているわけではない。
クマガイが、誰かに、何かに、好意を持っているということが伝わる程度。
アリスが分かるのはその程度なのだ。
(今のタイミングで何があったんだよ一体)
困惑するアリスは、今、この場にいる者たちを見回す。
その中で、クマガイが好意を抱いた存在を探す。
すると、当たり前の様に一つの考えにしかならない。
(今ここにおる女は一人だけだわ)
アリスの目はシャノンを見る。
まぁ、見た目は悪くねぇけど、と呟くアリス。
その心に、何だか気まずい思いが湧き上がる。
(何か、こういうのわかっちまうと、よくねぇわ。 気持ちを覗き見したみてぇでよぉ)
視線をあちらこちらにずらしながら、目を何度もしばたかせるアリス。
クマガイが好意を抱いている相手はアリスなのだが、まさか自分への好意とは思っていない。
自分を除外した上で、この場にいる女といえばシャノンだと勘違いし、結論づけたのである。
(まぁよぉ、協力……してやるかぁ……。 こいつの気持ちを知っちまったからにはよぉ、何かなぁ……)
泥島の恋路は邪魔したいが、今のクマガイの恋路に関しては、協力するつもりのアリス。
本来ならば邪魔して、メチャクチャにして遊びたい。
クマガイをオモチャにしたい。
アリスはそう思うが、しかし、クマガイに負い目がある。




