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異形の狙撃手
アリスは地に降り、怒りの形相で黒球を見上げた。
宙に浮かぶ黒球は、人などゆうに飲み込める程の大きさ。
実際に、デシネと妻の二人がすっぽりと入っている。
「アイツら生きてんのか? えぇ?」
黒球を睨みながら、アリスは鑑定機能を作動させる。
が。
「んー、解析不能だわ」
網膜にディスプレイされたのは、詳細不明を意味する、Unknownの文字。
しかし、アリスには、今しがたの経験がある。
黒球を攻撃し、腕がなくなったという経験がある。
「まぁよ、直接ぶっ叩くのは諦めた方がいいってことは確かだわ」
経験から導き出した答えは、当たり前すぎる程に当たり前のこと。
だが、これを知っているか、知らないかで、戦い方は変わる。
直接打撃が無効どころか、攻撃部位が飲み込まれるならば、やれることは遠距離攻撃だ。
そう考えたアリス。
アリスだけではない。
この場にいる全員が、同じ考えに至る。
そして全員の視線が一点に集まる。
異形の狙撃手に視線が集まる。
狙撃を担う異形の者とは、無論のこと。
「混血」
穴倉である。




