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黒球

 山の様に広がっていた邪神体が、のたうつ様に(うごめ)き始めた。

 そして、大きな鼓動の度に収縮し、その巨体の規模が小さくなってゆく。

 鼓動が次第に速くなって、収縮の速度が早まり、邪神体は、宙に浮かぶ闇色の球体となった。

 そして、デシネと、結晶化した妻が、その中に沈んでゆく。

 アリスの意識の中で、クマガイが叫んだ。


『ダメだ! 今倒すべきだよ!』


『!』


 クマガイの叫び、その切実さをかんじたアリスは、反射的に黒球に向かって突撃していた。


『おォォッッらァァァァッッッ!』


 そして繰り出された黒炎の拳。

 いつもの炎の拳ではなく、ランクが上の、黒炎の拳。

 だが、黒球には通じない。

 真っ直ぐ繰り出されたアリスの腕は、肘の深さまで黒球に沈み、そして。


「痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 絶叫し、退くアリス。

 黒球に沈んだ片腕が、肘の上まで消滅していた。


組成魔法(もとにもどれや)!」


 すかさず新たな腕がアリスに生える。

 先程までより強い腕が。

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