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倒れるわけにはいかないのだ
「ぐうぅ……」
呻くデシネ。
斬り折られた黒棘の痛みが、自身の体に跳ね返って来る。
それだけではない。
黒棘を伸ばすだけでも、痛みがはしる。
その痛みの大きさに驚くデシネ。
「これは……一体……?」
その驚き、そして戸惑いが、邪神体を脆くしてゆく。
ところどころ崩れてゆく巨体を見下ろすデシネ。
その視界に、結晶化した妻が入った。
「!」
その瞬間、デシネはハッとする。
自分が折れたら、妻はどうなる?
誰かに見出され、人を形どった謎の結晶として、物珍しさから売られたり、見せ物にされるかもしれない。
逆に、どこか静かな場所で、永遠の時を過ごすかもしれない。
今は妻を救う方法がないが、邪神となったデシネは、悠久の時を生きることが出来る。
時の果てに、必ず妻を救う方法を見つけると決意している。
その気持ちを思い出し、心燃やすデシネ。
「私は、倒れるわけにはいかないのだッ!」
妻を救うのは自分しかいない。
孤独をどれだけ過ごそうとも、絶対に諦めない。




