不変のアリスと変化のクマガイ
過去とされる記憶の中で、アリスはクマガイを踏みつけていた。
それはクマガイの奇行を制するものであったとアリスは思う。
故に罪悪感などは元々かんじてはいない。
その上、過去の記憶が偽りのものだと知ってしまった。
自分はこの世界に生み落とされた存在で、過去などないのだ。
有栖川諭などという人物は存在せず、アリスはアリスでしかない。
だがそれを嘆く理由がない、とアリスは思っている。
今の自分は女神と等しい存在。
この世界で自分なりに突っ走った結果、そうなった。
この生が自分で、植え付けられた記憶は、自分を形作る為の設定。
アリスはこう認識し、納得している。
自分は、いいとこのお坊っちゃんで、文武に秀で、容姿もいい。
性格は図々しくて粗暴だが、アリスはそこを欠点だとは思っておらず、直す気はさらさらない。
それどころか、お坊っちゃんなのに気さく、ぐらいに思っている。
故に、不満などないのだ。
むしろ、自分を造った創造主がいるのならば、感謝したいぐらいである。
その為、恵まれぬ記憶、卑屈で陰湿で救い様のない性格を背負うクマガイが、今の善性目立つ性格に成長していることを、ある意味で凄いと思っている。
(俺は記憶の中の俺と変わらねぇ気がするけどよ、クマガイ、おめぇは変わってく。 すげぇ人間っぽいわ)
ある意味で、クマガイを認めているのだ。




