いい関係
クマガイの畏れの感情がアリスに伝わる。
それをアリスは当然だと思う。
納得もしている。
いや、納得ではない。
満足である。
(おう、ビビってんなコイツ)
そう思うアリス。
クマガイより精神的に優位に立っていると認識し、ニヤリとした。
その感情の色が、今度はクマガイに伝わる。
精神的に劣勢に立っていることを自分で認識するクマガイ。
(あっ、ビビってると思われてる! 何だよ!)
そしてわき上がる怒りの感情。
俺を侮るなよ、という気持ち。
それがアリスに伝わった。
またニヤリとするアリスは、クマガイをなだめる。
『怒んなよ』
『怒ってないよ、別に!』
もはやクマガイに虚勢の色はなくなっていて、気後れはない。
それをかんじたアリスは、上機嫌となり、先程の話を再度投げかける。
『いやさぁ、こいつら、人の生き死にでケンカしてるっぽくね?って話よ』
『確かに、そんなかんじするかも』
『せやろ? クマガイもそう思うやろ?』
『思うけど、それが何!?』
またニヤリとするアリス。
その機嫌は上々だ。
アリスは、自分を侮られたくはないし、中心にいたい。
リーダーでいたい。
だが、ことさら媚びへつらわれたいわけでもない。
仲間には自我をもっていてほしいと思う。
その〝仲間〟に、クマガイの存在が加わり始めている。
『俺とお前って、いい関係になってきたわ』
アリスは、クマガイの様な突っ張る奴が、自分の周りに一人ぐらいいてもいいと思う。
いや、いてほしいぐらいの気持ちが芽生えている。
だから、クマガイの対等の怒りが嬉しかったし、そばに置いておきたいと、今は思っている。




