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甦る畏れ
『オイ……!』
アリスの声に、怒気が混じる。
クマガイの悪びれない様子に対し、腹の底から唸る様な声を出したアリス。
たった二文字に込められたアリスの感情。
それは、繋がった精神を通じて、直接伝わった。
震え上がるクマガイ。
『ヒ、ヒエッ……!』
声を震わせるクマガイ。
今はアリスと仲良くなり始めているとはいえ、記憶の中の有栖川の暴虐がよぎり、怒気の中に混じる凶暴さに反応してしまう。
『ご、ごめ、ごめんて』
『おー……』
クマガイのイメージでは、有栖川は王。
その圧倒的な威圧感が、短い一言に凝縮されている。
そしてクマガイは、比較で自分を平民だと位置づける。
否、奴隷階級だと位置づける。
それ程までに、アリスの怒気に対して、畏縮しているのだ。
(怖ッッ! 俺はこんなヤツを真似してたのかって!)
アリスへの、有栖川への畏れの感情が甦るクマガイ。
だが同時に、得意の虚勢を張るクマガイの心も、無意識のうちに甦って来る。
『何の話だっけ! 教えて、お願い!』
だからこそ、対等を気取る。
虚勢であるからこそ、機嫌を取る発言を重ねずに、クマガイなりに親しげに接するのだ。




