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俺たちも、迷い、悩むんだ
突然声をかけられたフォンテスは驚き、目を丸くする。
だが、地上に目を向けると、シャノンたちが見えた。
「どうやらシャノンは、俺たちと共に在ることを選んだらしいな」
フォンテスの声は安堵の溜め息混じりで、戦闘中のものとは思えぬ程に、喜色と落ち着きに満ちていた。
吸血鬼フォンテスの感情に触れて、アリスは満足げに頷く。
「おめぇら、人間と何も変わらねぇわ」
アリスもシャノンたちに目を向け、何気ない一言。
「ああ」
それを、フォンテスは否定しない。
旧来の吸血鬼ならば、この言葉に複雑な感情を抱くかも知れないが、フォンテスはそうはならない。
「俺たちも、迷い、悩むんだ」
そう言って、地上に降りて行くフォンテス。
見送るアリスの目に映るのは、どんどん降下して遠ざかるフォンテス。
そして、上昇して来る穴倉である。




