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お前は純粋だから
一族いち頭がいい。
この言葉にイゴールは少しムッとしたものの、すぐにその感情は霧散した。
というのも、シャノンから不穏な雰囲気が消えていたからだ。
お陰で、素直に制止の言葉を吐けた。
「マシアス、もういい。 シャノンも、いいな?」
ポカンとした顔のマシアス。
そして、小さく頷いたシャノン。
マシアスは短剣を構えているが、シャノンは戦闘態勢を解いていた。
マシアスは、シャノンの胸の内など何も分からないまま。
イゴールも、詳細が分かっているわけではない。
だが、シャノンの気性は知っている。
「お前は純粋だから、悩むんだ」
(だからこそ、もう大丈夫なんだろう? そうだろう? なぁ、シャノン)
イゴールの言葉にシャノンは一瞬目を見開く。
そしてギュッとかたく瞑って、涙を流し続けた。
困惑するマシアスは、訳が分からないまま。
ただシャノンとイゴールを交互に見ていた。




