俺たちも
意見の違いに直面したシャノンとマシアス。
シャノンは、吸血鬼然としたマシアスに眉をひそめた。
フォンテスへの盲信を改めて見せつけられると、落胆は大きくなる。
(意識の変革なんて、望むべくもない、か)
だが、この自分の考えに、シャノンはハッとする。
(私は、同族にまだ期待していた……? マシアスに期待していた……?)
それは、悟りにも似た諦観だった。
マシアスの行動の変化を見て、シャノンは期待してしまっていたのだ。
旧来の考え方しかしない吸血鬼から脱しようとする存在が、自分の他にも出て来ることを。
だからこそ、マシアスの思考の不変さに落胆したのだと、気付いてしまった。
(じゃあ、同族を否定して離れるという方法はどうなの? フォンテス様を無条件に崇める愚鈍な盲信と、同族を無条件に拒絶する愚鈍な自己盲信の何が違うというの?)
迷いが生じるシャノンの心。
そこにマシアスの言葉が。
「お前は頭がいいからよ、きっと俺たちには分からねえ難しいことを考えてるんだろ? それってよ、俺たちも考えられる様になるのか?」
不意に刺さった。
マシアスには何の意図もない。
しかしシャノンの心を震わせた。
「……そうよね。 私は一族いち頭がいいわ。 だから、あなたたちの先生にならなきゃいけなかったのよね。 なのに……!」
そして涙が溢れる。




