1769/2233
立ちはだかるマシアス
だが、マシアスの感情抑制には、シャノンへの意趣返しの様な意図はない。
マシアスは単に、フォンテスに追従し、その行動をトレースしているだけだ。
きっとフォンテスがダイエットを始めれば、マシアスもダイエットを始めるだろうし、フォンテスが読書や勉強を始めれば、マシアスも読書や勉強に勤しむだろう。
シャノンはそれを痛い程かんじている。
マシアスは、真祖であるフォンテスに安易について行く。
つまり、吸血鬼らしさを貫いている。
だが、フォンテスが、安易な激情を抑え込もうとするお陰で、マシアスも何の疑問もなく冷静さを保とうとする。
それは、シャノンにとって、悔しいを通り越して屈辱ですらある。
自分が全てを捨てて臨もうとしていることを、マシアスは何となくやってしまっているからだ。
そう思うと、シャノンは抑制がきかずに、つい口走ってしまった。
「フォンテス様に、金魚のフンみたいについて行くのは楽しい?」
一瞬の沈黙。
そしてマシアスは、怪訝そうな顔で答える。
「フォンテス様について行くのが最高の誉れだろ? 何言ってんだ?」




