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吸血鬼の矛盾
「……」
イゴールの激しい気性、そして振る舞いを半眼で見つめるシャノン。
しかし、胸に去来する虚しさは、イゴール個人へのものではない。
吸血鬼全体へのものだ。
シャノンは半ば呆れながら、しかし、シャノンなりの燻りを胸に抱き続けてきた。
その感情を乗せた言葉が、口をついて出る。
「怒りを胸に戦うのが吸血鬼の誇り? なら、吸血鬼の矛盾に怒りを持ってる私を誇らせてもらうわ」
「矛盾だと?」
イゴールが聞き返しながら、黒光りする戦斧を強く握りしめた。
返答次第によっては、シャノンの首を即座に落とすつもりである。
無論シャノンも、そんなイゴールの雰囲気を察知している。
故に、慎重に後ずさるシャノン。
その姿が気に食わないイゴールは、一層怒りの形相を深める。
「逃げずに言ってみろ……!」
そして今にも飛びかからんばかり。




