1763/2233
当たり前だと思っていたけど
しかしその態度は、イゴールにとっては、嘲りの様に見えた。
イゴールは、怒りの表情でシャノンを睨む。
殺意に溢れるその顔は、まるで鬼の様だ。
その顔を見て、軽く溜め息をつくシャノン。
「私も今、そんな顔をしているんでしょうね」
「……?」
対するイゴールは、怪訝そうな顔となる。
シャノンの言葉の意図が、よく分からないからだ。
シャノンは小さく首を振って、肩を落とした。
「当たり前だと思っていたけど、おかしいわ」
明らかに落胆しているシャノン。
その態度が、イゴールの怒りを更に煽る。
「シャノン貴様、俺たちを愚弄するか」
当然の様に、イゴールの肩に力が入る。
吸血鬼にとって、戦いとは。
「怒りを胸に戦うのが、我ら一族の誇りだろう!」
勇敢に戦うことである。
しかし今のシャノンは、吸血鬼の気性から来るこの美徳を、そして真祖の存在を、忌避し始めている。
故に、吸血鬼の、吸血鬼性が詰まったイゴールの言葉は、シャノンには響かない。




