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当たり前だと思っていたけど

 しかしその態度は、イゴールにとっては、嘲りの様に見えた。

 イゴールは、怒りの表情でシャノンを睨む。

 殺意に溢れるその顔は、まるで鬼の様だ。

 その顔を見て、軽く溜め息をつくシャノン。


「私も今、そんな顔をしているんでしょうね」


「……?」


 対するイゴールは、怪訝そうな顔となる。

 シャノンの言葉の意図が、よく分からないからだ。

 シャノンは小さく首を振って、肩を落とした。


「当たり前だと思っていたけど、おかしいわ」


 明らかに落胆しているシャノン。

 その態度が、イゴールの怒りを更に煽る。


「シャノン貴様、俺たちを愚弄するか」


 当然の様に、イゴールの肩に力が入る。

 吸血鬼(イゴール)にとって、戦いとは。


「怒りを胸に戦うのが、我ら一族の誇りだろう!」


 勇敢に戦うことである。

 しかし今のシャノンは、吸血鬼の気性から来るこの美徳を、そして真祖の存在を、忌避し始めている。

 故に、吸血鬼の、吸血鬼性が詰まったイゴールの言葉は、シャノンには響かない。

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