戦うしかないみたいね
その声に振り向いたシャノンに対し、短剣をさし向けるマシアス。
表情は硬く、目は怒気を孕んでいて、殺気に満ちている。
「言えよ。 テメェ、何する気だ? 一人でよお」
イゴールも無言でシャノンを睨み、マシアスと並び立つ。
マシアスとイゴールの二人は、明らかにシャノンの行動を警戒していて、今にも攻撃しそうだ。
「そのまま飛んでけば、フォンテス様の邪魔をするつもりとみなして」
額に青筋浮かせたマシアス。
両手に短剣を構え、威圧的な巻き舌で言い放つ。
「殺す!!」
シャノンは口ごもる。
同族と袂を分かつつもりではあるが、こうも躊躇なく敵対行動を取られると、さすがにショックが大きい。
マシアスも、イゴールも、長年、仲間として帯同していた者たちだ。
しかし彼らは、シャノンと対峙したのだ。
イゴールの低い声が響く。
「俺たち吸血鬼は、フォンテス様と道を共にするはずだ。 そう在ることを拒むのは許さん」
(真祖の前には、重ねた年月も無意味か)
シャノンは目を伏せ、少しだけ笑む。
すると目に涙が溢れてきた。
完全訣別の時。
シャノンは内心傷つきながら、しかし、ある部分では気を持ち直す。
(こうなることは分かっていたはずよ)
マシアスも、イゴールも、そしてシャノンも、血の気の多い吸血鬼。
故に、手段は一つ。
「戦うしかないみたいね」




