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燻(くすぶ)る火種
その表情の変化はあからさまで、誰の目にも、ガインとの間にただならぬものがある様に見えた。
特にシャノンは、デシネの心の揺らぎを顕著にかんじ取る。
(聖騎士との間に何かある……? 神殿の聖騎士とザハークの司祭だから……?)
しかし、シャノンが考えたのは敵対関係。
実際は真逆で、ガインとデシネの間には、ひとときの友人関係があったわけだが、シャノンがそれを知る由はない。
だが、関係性をはき違えていても、ガインがデシネにとっての天敵であることは見て取れる。
明らかにデシネの態度が違うからだ。
故に、デシネに惹かれている今のシャノンは、無意識的にガインに不快感を抱く。
「っ……!」
声にならない声は、シャノンの心に反感の火種を燻らせる。
そしてこの戦いに、デシネ側で加わる決意を固めさせる。
「飛空魔法」
この場にいる誰にも聞こえない程の小さい声で呟くシャノン。
それは袂を分かつ同族・吸血鬼たちへの後ろめたさがあるからこそ。
だがそれを。
「シャノンてめえ、一人で何する気だ」
マシアスは察知している。




