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汚らわしい化け物が
ガインの短い一息。
それは、かつての歓談の際のガインとはあまりにも違う。
デシネは胸が締め付けられる思いで、口を開いた。
そんなデシネを見るガインの目は、冷たく乾いていて、それでいて、憎しみの炎がともっている。
その目に気圧されるデシネ。
硬質の黒棘が、所々、しなびた灰の様に崩れ落ちた。
デシネは、妻の為ならば自分をも犠牲にする覚悟がある。
もちろん、他人も犠牲にするつもりだ。
赤の他人も。
だが、誰でも犠牲にしたいわけではない。
冷徹無比というわけではないのだ。
「何故……」
何故そんなにも忌み嫌うのだ、と口をついて出そうになる。
だが、言えないデシネは唇を噛んだ。
(戦うしかないのか)
悲嘆に暮れるデシネ。
その表情が、ガインの感情を逆なでする。
怒りの形相でガインが叫ぶ。
「何だその顔は! 悪そのものの貴様が、何を人間ぶることがあるのだ!」
大剣の柄を握る手に、力がこもる。
ガインは、剣の切っ先を再びデシネへ向け、再度の突撃を狙う。
そして、憎しみこめて、腹の底から怨嗟の声を出した。
「汚らわしい化け物が」
ガインの容赦のない言葉。
愕然とするデシネ。




