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あの子の為に死ぬべきなのだ
デシネを野放しにすれば、ユウ親子の様に、人生狂う者が後を絶たない。
故にガインは、デシネを殺すまでは、死ねないと思っている。
逆に言うと、デシネさえ殺すことが出来れば、後はユウに実母の死の真実を告げ、己の首を差し出して、仇討ちをさせるつもりでいる。
ユウは自分を慕ってくれているが、だからこそ、真実を知れば、怒りの刃で首を跳ねてくれるだろう。
ガインはそう信じている。
「あの子は、強い子だ」
とはいえ、義兄妹として育ったガインが親の仇だと知れば、きっと傷つけてしまうだろう。
だが、だからこそ、長い年月の間、真実を隠して来た。
それは、保身の為ではない。
クズだと思われる為だ。
「そして、優しい子だ」
ガインはユウに、親の仇を取らせてやりたいのだ。
怒りの刃を迷わず振るわせてやりたいのだ。
その為には、ガインが幻滅されるしかないと考えている。
己の全てを義妹のこれからの人生の糧としてやりたい。
そう思わずにはいられないガインの直情が、デシネへの敵意を増幅させ、妄執へと駆り立てる。
「貴様と己は、あの子の為に死ぬべきなのだ」




