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人であることを捨てた外道め
だが風雷牙は見えない壁に阻まれた。
若干のけ反るデシネの目と、弾かれたガインの目が合う。
デシネの目には、戸惑いの色がある。
かつて共にいた一時を、デシネは捨て切れないでいる。
妻にしてもそうだ。
デシネは、思い入れのある相手を、簡単に切り捨てることが出来ない。
しかしガインの目には、迷いがない。
デシネの妻もろとも、デシネを倒すつもりで仕掛けた。
二人のお互いに対する意識は、同一ではない。
ガインにとってのデシネは、義妹の家族を闇に堕とした悪人でしかない。
たとえアリスが義妹の家族を甦らせてくれたとしても、狂ってしまった義妹の人生は巻き戻らないし、狂ってしまった義妹の母を殺したのがガインなのは変わらない。
だからガインは、デシネを亡き者としたいのだ。
「もう一撃行くぞ」
跳ね返ったガインは、片時もデシネから視線を外さず、歯噛みする。
「人であることを捨てた外道め」
その一言に、デシネは更に戸惑う。




