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斬り捨てる二人

「!」


 アリスは、黒棘(くろとげ)がジャン・ジャックに向かって伸びるのを視認し、いかにも悔しそうな顔をした。


「てめぇ、そっちを狙うかよ」


 素直な気持ちが口をついて出る。

 助けてやりたい気持ちはあるが、間に合う距離ではない。

 アリスにとって、ジャン・ジャックは元々、気まぐれで助けただけの相手。

 そこに倒れていたから、生き返らせただけだ。

 しかしジャン・ジャックは、その気まぐれを恩義にかんじ、命を投げ出して共に戦ってくれる。

 そんな相手はアリスにとって、仲間以外の何者でもない。


(野郎! 絶対にこの邪神クソジジイの好きな様にはさせねぇ!)


 アリスは、ジャン・ジャックを助ける為、急降下したい。


『クマガイ! 降ろせ!』


 しかしクマガイはアリスの指示を聞かず、動かない。

 それどころか、答えもしない。


『……』


『おいクマ……!』


 アリスがジャン・ジャックを見ながら、心の中で悲痛な声をあげんとして、そして止まった。


「……ちっ」


 舌打ちをしたアリス。

 だがその顔は、笑顔である。

 ジャン・ジャックを突き刺す為に伸ばされたはずのデシネの黒棘(くろとげ)

 だが、黒棘がジャン・ジャックの渾身の悪薬を阻むことはなかった。

 全て斬り捨てられたのだ。

 斬ったのは聖騎士ゲブ・ズ・ガイン。

 そしてもう一人。


「この黒い(とげ)って、食えるのかな」


 異形の魔物、穴倉羊透(あなくらようすけ)

 無数の触手がくねり、その先端の(ブレード)が鈍く輝く。

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