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ただの吸血鬼
かつてのシャノンは、仲間たちと同じ様にフォンテスを受け入れていた。
真祖の吸血鬼は、それだけで尊いとされたし、フォンテスと共にいるだけで、忠誠心が湧き上がって来たものだった。
吸血鬼にとって、血が濃い者は敬うべき対象で、また、自分たちの体に流れている血が誇りである。
故に、誰もが、盲目的にフォンテスを支えたし、フォンテスを支える自分を誇りとして、胸を張った。
しかしシャノンは高い教育を受けた。
その中には、吸血鬼外の知識も含まれていたし、それによって、従来の吸血鬼と違う考えに至ることもあった。
それは、一族の輪を乱しかねないものだったし、シャノンをしばしば悩ませたが、フォンテスの言動は更に輪をかけて型破りで、だからこそフォンテスは、シャノンの思想思考を容認してくれたのだと分かる。
(私は、フォンテス様がいたからこそ、ただの吸血鬼でいられた)
そのことには感謝しているシャノン。
だが。
(しかし、フォンテス様がいたからこそ、ただの吸血鬼ではいられなくなった)
こうも思い始めている。




