1723/2233
シャノンと穴倉
「俺はやっぱり、戦わないといけないんだなって思えたよ」
誰に聞かせるでもない穴倉の言葉は、一種の吹っ切れた雰囲気をまとっている。
その表情は敵意を多分に孕んでいて、硬く尖っていて、目が、いつにも増して爛々(らんらん)と輝き、燃えている。
今の穴倉の顔は、常人が見れば、不穏さをかんじ、恐怖で萎縮する程に禍々しい。
とはいえ、ここに集うは歴戦の猛者揃い。
怯む者など、いない。
しかし、全く平常心を保てる者ばかりというわけでもない。
誰あろう、シャノンである。
彼女は、穴倉への嫌悪感を隠そうとせず、眉をしかめて吐き捨てた。
「醜い戦闘生物」
その言葉は辛辣で、しかし正直で、そしてどこか悲しげであった。
何故ならば。
(あれは、私たち吸血鬼と似ている)
シャノンは、自分たち吸血鬼を、穴倉に重ねて見ているからだ。
穴倉とシャノンたち吸血鬼は、全く違う生物である。
だが、戦闘生物としての気性は似ている。
故にシャノンは、無意識ながら、悲しみの感情を漏らしてしまっていたのだ。




