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穴倉の禍々しさ
対するデシネは穴倉を見下ろす。
その眼は、輝き煌めきの類いが一切ない。
むしろ深い闇の様な、得体の知れなさがあり、堕落した者特有の暗い雰囲気は、深淵を彷彿とさせる。
そんなデシネと視線を合わすは穴倉。
その苛烈な闘志を混血熱線砲という形でデシネにぶつけた穴倉は、デシネの眼中に入ったと言ってよい。
「人外の力……、危険ですね」
暗闇の目に穴倉の姿が映る。
混血熱線砲を食らったデシネの独り言は、その威力を身をもって知った者が発する、警戒の言葉に他ならない。
だが、棘や焦りの色はなく、抑揚のない、どこか他人事といった様子。
「しかし、今以上の攻撃はないでしょう」
デシネの声は、決して大きくはない。
だが穴倉には届いていて、その苛烈な闘志に拍車がかかる。
デシネの態度は、穴倉の心を炎上させる結果となった。
穴倉は、胸、頭部の熱線砲の砲門を開く。
さらに、全ての触手をデシネに向ける。
これは、炸薬弾の一斉発射も狙ってのこと。
「今以上の攻撃、してあげるよ」
穴倉はまたも笑う。
その禍々しさは、深淵のデシネに何ら飲み込まれるところがない。




