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効いてないわけじゃない
しかしデシネは、クマガイには一瞥もくれない。
今、デシネの体を傷つけているのは、穴倉であって、クマガイではないからだ。
当然といえば当然である。
だが、クマガイは、よくも悪くも、他人の気持ちを考えるのが苦手だ。
穴倉のみを眼中に入れるデシネの心中を察することはなかった。
それどころか、邪神デシネには心なんてないとすら思っている。
あまりの異容、そして相手は邪神なのだという先入観があるクマガイには、デシネがより強大な存在に見える。
その山の様にそびえる体は熱線砲によって焼かれている。
だがしかし、熱線はデシネの体を燃やし尽くしたわけではない。
混血熱線砲は、集束した魔力を灼熱の砲とする。
その破壊力、貫通力は比類ないものを誇っていた。
「熱線砲を受けてこれか」
穴倉は少し、ほんの少しだけ笑った。
熱線は、デシネの体を破壊し尽くしたわけではなく、貫通もしていない。
だが穴倉には、こう思えた。
「効いていないわけじゃない」
触手を広げ、デシネを見上げると、穴倉はまた少しだけ笑った。




