ジャン・ジャックの恭順
(俺の……、俺の名が呼ばれた……!)
ジャン・ジャックの胸に、背中に、貫く様な快感が去来した。
アリスは何となくウィンドウを開き、見た名前を口にしただけだ。
しかし、それこそがジャン・ジャックにとっては最高の出来事。
自分は日陰者で、どこか世をすねて生きてきたジャン・ジャック。
だが今は、光の下に出た様な気持ちになっている。
(新たに生まれ直した気分だ──────!)
何だってやる。
何だって出来る。
(この方が望むのならば、何だって)
やりたい。
期待に応えたい。
その気持ちが溢れるジャン・ジャックは、絞り出す様に声を出した。
「私ジャン・ジャックは、あなた様に忠誠を誓います」
よろこびと、真心と。
その両方を目一杯あらわすジャン・ジャックを見て、アリスはニヤリと笑う。
(コイツ、俺のこと大好きっぽいな)
「おもてをあげい」
「はっ」
顔をあげたジャン・ジャックの目は、今だかつてない程に澄んでいて、見下ろすアリスと真っ直ぐ視線をかわす。
するとアリスがしゃがみこみ、目線の高さが合った。
「ジャン・ジャックよぉ、おめぇ、俺の為に」
「救っていただいた我が命、その全てを如何様にもお使い下さい」
「よーし、よく言ったわ」
アリスがジャン・ジャックの頭を両手で挟み込む。
そして、ジャン・ジャックと額を合わせた。
「俺らでよぉ、邪神殺し、やんぞ」




