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ジャン・ジャックが受けた衝撃

 ジャン・ジャックはこの場にいる唯一の人間である。

 彼は騎士殺しを繰り返す医者で、他者の命を奪うことに罪悪感などない、いわば異常者である。

 ジャン・ジャックを異常者に至らせたのは、まずしい生い立ちと、それ故にないがしろにされた事件による後天的なものだ。

 富を、権利を持たざる者であったジャン・ジャックにとって、生殺与奪という権利を得られる戦いは、ある種の癒しである。

 特に、かつてのガインとの戦いは、埋まったことのなかったジャン・ジャックの心のピースとなった。

 憎き神殿の騎士でありながら、ガインは人間ではなく魔物。

 立場は違えど、他者から蔑まれる生い立ちを持つという点では一緒だった。

 とはいえ、やはり立場は違う。

 ガインは、ジャン・ジャックがなれなかった修道の士であり、それはジャン・ジャックにとっては妬みと怒りの対象であった。

 故に、ガインが何ら小細工せずに真正面から対峙してくれたことで、ジャン・ジャックの心はある種の解放を終え、生涯における大きな一歩を踏み出した。

 こうなると、戦いそのものを、どこか達観して見れる様になったのであるが、しかし邪神デシネと穴倉の対峙、その初撃はジャン・ジャックの知る戦いとはあまりにも違うものであり、その神話の様な光景に衝撃を受けたジャン・ジャックは、頭の先から爪先まで震えが来たのである。

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