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穴倉が怖い
穴倉の胸部に大穴が開く。
するとその奥には、てらてらと輝く、真っ赤な心臓が見えた。
それを見たクマガイは、デシネの体から、更にその下部にかけて開いた大口と、女が内包された結晶を思い返す。
穴倉を単体で見ただけでは、単なる異形としか思わなかったが、邪神化したデシネを見た後だと、ダブらせて見てしまう。
体に開く穴と、そこにある禍々(まがまが)しい輝き。
デシネのそれと、穴倉のそれは別物。
だが、一旦ダブらせてしまうと、どうにも似ていると思って見てしまう。
デシネの暗い禍々しさと、穴倉の苛烈な禍々しさを立て続けに目にしたクマガイは、思考が停止し、だが、五感は過敏に働いていて、全身に鳥肌が立った。
それは、本能的な恐怖の発露。
(あ、穴倉が怖い! あんなの、邪神の類いじゃん!)
円陣など組んで、仲間になれた様な気になっていたクマガイだが、気持ちが後退する。
クマガイ自身も、人ならぬ異形へと身をやつしたが、穴倉はその比ではない。
そして、そんな穴倉をもってしても、相対している邪神デシネの異形、異常さとは比較にならないのだ。




