邪神化
その灼熱の眼光、そして脈動の異常さに、デシネは目を見張る。
その瞬間、障気の放出が一瞬弱まった。
(この魔物は一体……?)
だがそれは、ほんの一瞬のことで、再び障気の放出が強まる。
「さあ、おいで……」
そして、デシネの体のそこかしこが裂けた。
それは切れ目裂け目という風ではなく、魚のえらの様なもの。
開閉を繰り返しては、より濃く障気を噴き出し始める。
次に、デシネの四肢が、ほどける様に枝分かれし、肥大化しながら末広がりに広がって、人ならぬ、山の様に大きな異形へと変わってゆく。
それに比例して裂け目は増え、やはり障気を放出し、その闇を浴びた皮膚がどす黒く変色してゆく。
肥大した体の頂上にはデシネの上半身であった部分があり、背中からは無数の翼が生えて、肋骨が棘の様に露出した。
腹が腐り落ちる様に溶け、ぽっかりと大口が開く。
「接続……」
そして静かな、闇そのものを声にのせた様な一言を発すると、デシネの眼前、その空間に、結晶化した妻が出現した。
空中に浮かぶ妻の結晶がデシネの腹から下の部分におさまり、肋骨にがっちりと掴まれて、障気の中で鈍く輝きを放つ。
この異容を目の当たりにしたアリスも、クマガイも、ガインも、ジャン・ジャックも、吸血鬼たちも、戦慄して顔がこばわり、ただ目の前の異形を見上げるのみだ。
だが穴倉だけが、燃える様な眼光を放ち続けている。
そして力の限り、声の限り、猛々しく叫んだ。
「混血熱線砲!!!!!」




