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吸血鬼らしく
それはフォンテスの優しさ、シャノンへの思いやりの発露だが。
(しかし、心を開いてはくれない、か?)
残念ながら、シャノンには届いていない。
シャノンはフォンテスに対して、後ろめたい気持ちを持っている。
シャノンは、吸血鬼らしく、正々堂々と、正面から敵と対峙したいと思っている。
そしてこの吸血鬼らしい思考は、多対一を目の当たりにすればするほど、募ってゆく。
(納得が行かないんだ、私は)
それが、シャノンの思考を阻害し、フォンテスとの見解の相違をより深いものにしている。
(こんな気持ちを抱える私は、フォンテス様と共にいてはいけない)
何故ならば。
(この不敬さが、憎しみに変わらぬ保証などない。 溝が深まる前に)
「私は吸血の一族から離れたい」
「何?」
フォンテスは、しばらく呆然とシャノンを見ていたが、次第に険しい表情となり、シャノンの目を見つめる。
シャノンはフォンテスの視線が孕む不穏な感情に気付かぬまま、ただ視線をかわした。




