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不穏分子
だが、フォンテスは、その不敬を受け入れる。
それがフォンテスなのだ。
シャノンは、フォンテスを長の器ではないと思う。
だが、ある意味では、同時に長の器だとも思う。
何故ならば、多対一で戦うフォンテスたちに反発したシャノンを咎めない。
それどころか、吸血鬼の誇りにこだわるシャノンを容認しているからだ。
本来、長が黒だと言えば、白いものでも黒だと言うべきだとシャノンは思う。
しかし、シャノンはそれが出来なかった。
吸血鬼の伝統的な誇りを守りたかった。
それを伝えると、フォンテスは一歩退き、シャノンを尊重しようとした。
しかし、それは危ういこと。
不穏分子を容認すること以上に、危ういことはない。
今のシャノンは、平たく言えば、吸血鬼の輪を乱す不穏分子だ。
一族が一丸となって敵を倒そうとしている時に、異を唱えているのだから。
いや、異を唱えるどころか。
(私は一族を裏切ろうとしている)
今のシャノンは、フォンテスたちから離れようとすら思い始めている。
そして。
(私はザハークに降る)
別の道へと行くつもりなのだ。




