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寂寥(せきりょう)のシャノン
こんな状況でも緊迫感がないアリスを見て、シャノンは初対面時を思い出す。
時計台に現れたアリスは、あっという間に吸血鬼たちを撃退して行った。
あの日の屈辱をシャノンは忘れてはいない。
(魔人アリスは敵、敵なのよ)
そう思うシャノンが仲間の吸血鬼たちを見渡すが、誰もがアリスの魔法によって強化され、そして、共闘の形を取らされている。
そして、アリスが敵という意識も薄れている様に思える。
それはシャノンにとって、到底納得出来るものではない。
(みんな平気なわけじゃないはずだけど……そうは見えない……!)
シャノンは、あの日、初めて対峙したアリスに、バカにされたと思っている。
“「口紅が派手!」”
アリスがシャノンに放った、この一言。
どう考えても、戦う相手への言葉ではなかった。
(吸血鬼にとって、戦いは尊いもの。 それを魔人アリスは汚したはず。 なのに何故……)
アリスたちと共闘したマシアスに、悲しげな視線を向けるシャノン。
そこには吸血鬼の苛烈な怒りよりも、仲間に対する寂寥感が去来する。




