因縁のガインとデシネ
悲しげな表情となるデシネは、ゆっくりと歩き始めた。
それはどこへ向かうでもない、行く先なき歩みである。
対するガインはデシネを睨み付けたまま。
大剣を引き絞る様に構え、更なる突撃の意を見せる。
「あの日もこうして一撃加えたのだ」
「あの頃は私もまだ弱かった。 逃げるだけで手一杯でしたよ」
デシネは更に悲しげな表情となる。
その顔は、シャノンには本当に悲しんでいる様に見えた。
(この二人、因縁が?)
ガインとデシネを交互に見るシャノン。
ガインはデシネとの対峙に集中しているが、デシネはガインから視線を外した。
そして視線をあちらこちらに泳がせ、一瞬シャノンと目が合った。
その時、シャノンには、デシネが微笑んだのが見えた。
更にデシネが続ける。
「あの時、私は悲しかったですよ。 攻撃してきた不届きな騎士が、まさか友である貴方だなんて」
その言葉はいかにも芝居がかっていて、まるでガインを馬鹿にしている様な色があった。
固唾を飲んで見守るシャノン。
この時、シャノンの胸に去来していたのは、デシネがこの苛烈なガインをどう凌げるのか、という心配であった。
共闘者であるガインではなく、対峙者となるべきであろう相手デシネを気にかけたシャノン。
この心情は敵に与する不当なものだと思うシャノンは、自分自身に少し失望しながら、どうすることも出来ずにいた。




