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勝てるわけがない
デシネが、シャノンを流し見た。
その目はやはり暗く、しかし、今までにないほど、強く鈍い光を放つ。
「私を人間だと思っている様ですね」
穏やかな声。
しかし、闇の中からシャノンの心に伸びて来た、おぞましい声。
目が合ったシャノンは、底冷えがする思いだった。
即座に目をそらすが、時既に遅し。
「……ッッ、ぐ、っくぁッ」
このほんの一瞬の視線の交錯だけで、シャノンは呼吸が乱れ、膝から崩れ落ちた。
そして、あまりの戦慄に、心が折れた。
「か、勝てるわけがない」
そしてデシネに対して、畏怖の感情すらわき上がってくる。
その様子を見下ろすデシネの顔は、笑っている。




