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プライドなんていらねぇんだ
マシアスは、さらに冷静になる自分の心を見つめる。
心の中には、主君フォンテスが立っている。
マシアスの知るフォンテスは、主君らしからぬ失態も多い。
だが、マシアスは、何故かそれが嫌ではなかった。
むしろ好意的な感情すら湧いた。
(俺らの主君は、俺らを仲間だと思ってくれてるんだ)
そして本物のフォンテスを見るマシアス。
炎の闘気をまとうフォンテスは消耗激しい。
髪を振り乱し、必死にデシネを追いすがる姿は、優雅さの欠片もない。
しかしその姿は、マシアスの胸を打つ。
(そうだよ。 俺らは仲間なんだ。 そして)
先程まで、フォンテスの動きはどんどん鈍っていた。
が、しかし、再度速度が上がり始めている。
(フォンテス様が主、いや、リーダーなんだ)
マシアスは再び、深く、静かに心を鎮めた。
(ムカついてもよ、喉元過ぎりゃあよ、何てことはねぇ。 ねぇんだ。 だから)
「プライドなんていらねぇんだ」




