1648/2233
気に入らねぇよ
そのまま魔法の短剣で切りつけに行くマシアス。
(サッサと全部投げてぇところだけどよぉ)
柄を強く握りしめ、体勢を低くしてデシネに迫る。
対するデシネは身構える様子もなく、綺麗に足を揃えて背筋を伸ばして立っている。
それはマシアスにとって、いや、吸血鬼全員にとって、悔しいことだ。
デシネの直立姿勢は、戦闘態勢とは言えないもので、嘲りの気持ちが表現された姿勢にさえかんじる。
マシアス、イゴール、そしてフォンテスが嘲られている様にかんじるのだ。
(ナメやがって……!)
マシアスの心に、怒りの感情が沸々と沸き上がる。
だが、すぐに気持ちを抑え込む。
自尊心を傷つけられただけではなく、フォンテスが絡んでも、感情の波を抑え込むことが出来る様になってきたマシアス。
「気に入らねぇけど、まぁよ……」
(怒って勝てるわけでもねぇからな)
マシアスの斬撃、刺突撃はことごとくかわされてゆく。




