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侮りすぎていた様ですね
その瞬間、男が怯んだ。
無表情だった顔には驚きの色が浮かぶ。
それを目撃した吸血鬼たちは、一層の鋭さを持って、さらなる攻撃を仕掛ける。
フォンテスが。
マシアスが。
イゴールが。
三方向から一斉に男に殺到した。
「……!」
男は一見、難なくかわしてゆく。
フォンテスの拳撃を。
マシアスの刺突撃を。
イゴールの斬撃を。
そしてその合間に、ちらりちらりとガインを見る。
それは吸血鬼たちには余裕がある様に見えたし、余裕があるかないかで言えば、この男、デシネには確かに余裕があった。
だからこそ、ガインに意識を割けもしたし、その上で吸血鬼たちの攻撃をかわせてはいるのだが、デシネの意識としては、ガインに意識を割いた分、吸血鬼たちの攻撃が鋭く切り込んで来る様にかんじた。
「侮りすぎていた様ですね」
吸血鬼たちは気付くと常にデシネの眼前に迫っている。
その攻撃速度は、まるで際限がないかの様に上がってゆき、徐々に、デシネの余裕を奪ってゆく。
そして、デシネの目がガインへと向かなくなってゆく。




