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初めまして
すると男の姿がかき消えた。
移動の様子を捉えることは、マシアスにはやはり出来なかった。
(消えやがった!)
「でもよぉ」
短剣は、男を追尾して飛ぶ。
……はずだった。
「な、何ッッ!?」
男が消えたと同時に、マシアスが投げた魔法の短剣は、一瞬空中で静止して、そして落ちた。
「あ、あり得ねぇ……!」
男は、マシアスの背後にいる。
フォンテスが男に向かって駆けた。
「後ろだ、マシアスッッ!」
その言葉に振り向くマシアスだが、背後にはもう男の姿はない。
フォンテスも男の姿を見失うが、その瞬間、駆けるのをやめて急遽停止し、後ろへ向かって蹴りを繰り出した。
「でやぁッッ!」
そこには男の姿がある。
フォンテスの蹴りを手で払いのけた男が口を開いた。
「初めまして」
その声は、暗く、黒く、澱んでいて、フォンテスは総毛立ち、その瞬間、全力で叫んでいた。




