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枯れ木の様に痩せ細っている
男は、枯れ木の様に痩せ細っている。
身長は高いが、あまりに細いその風貌のため、ゾミを片手で受け止めている様子は、ある種の異様さをまとっている。
見た目には、到底誰かを支えられる様には見えない。
そして、誰かを支えたまま移動出来る様には見えない。
「……」
だが男は、実際に移動を繰り返している。
イゴールの背後から背後へと、移動を繰り返している。
音もなく、だ。
冷や汗を滴しながら、フォンテスが問う。
「誰か、奴の動きが見えたか?」
……問いに、誰も答えない。
答えないというより、答えられない。
誰も、男の動きを捉えられた者がいないのである。
「……」
男は無言のまま。
その腕の中にあったゾミの体が、いつの間にかなくなっている。




