俺を認めてしまうのか
興が乗った穴倉は、一歩前へ進み出る。
(まさか、そういう反応になるとは)
そして、笑いが込み上げてきた。
「くくくくく、ふっははは」
「何わろてんねん、キッショオ~」
アリスは相変わらずの反応を見せる。
その顔はしかめられている。
だが、やはり口元は笑っていて、茶化す様な雰囲気は増しつつある。
そこに嫌悪のトゲはない様に見える。
そのアリスの態度が、穴倉にとっては何より嬉しいことであり、そして同時に、アリスの危うさを穴倉にかんじさせる要因ともなった。
「お前は、こんな俺を認めてしまうのか? ククク」
穴倉の言葉は、その一抹の危うさをかんじての問いかけでもある。
どういうことかというと、普通の人間ならば、穴倉を非難するか、ただひいてしまうかの場面だからだ。
「腕を食っているんだよ、俺は」
アリスの態度を受けて、素直な気持ちを吐露した穴倉の言葉。
そこには、取り繕う素振りは一切ない。
「なのにお前は、責めないのか? 倒そうとしないのか? そうなるかもしれないと言っていたはずだ」
「えぇ? まぁよぉ、ウェェ~キッショ~しか思えなかったんだから、何とも言えんわ」
厳密には、アリスは明確に何か物言ったわけではない。
だが穴倉には、このおぞましい腕食いを許容された様に思えたのだ。
そしてアリスは、肯定も否定もしていない。
だが穴倉を“倒すべき者”と認識した態度でもない。




