奇妙な感覚
そしてそんな嫌悪の気持ちがどうしようもなく増した時、ジャン・ジャックは殺意が抑えられなくなる。
友を欺く自己嫌悪だけではない。
他者への嫌悪がどうしようもなく首をもたげる。
その矛先は、天使プレであり、そして。
「聖騎士きさま」
ガインである。
ジャン・ジャックの殺意の視線に、ガインは気を張り、即座に緊張感のある顔つきになった。
その表情は、まさに、敵を見据えるもの。
だが内心は困惑しきりだ。
(こ奴は何故今、己に敵意を向ける?)
ジャン・ジャックの殺意はうねる様にたちのぼり、周囲の景色に溶け込んでゆく。
ガインは、その殺意の空気が広がって、自分のところにまで届いた感覚があった。
禍々しささえ放つジャン・ジャックに対し、ガインは完全に身構える。
その時、困惑の気持ちが消え失せた。
ただ冷淡にジャン・ジャックと対峙するガイン。
怒りの表情のジャン・ジャックを見ながら、ガインは静かに思う。
(俺は強くなったのかもしれぬ)
下等種と蔑まれ怒ったジャン・ジャックに対しては意気をかんじたガインではあったが、そんな相手であろうとひとたび対峙すると、何の迷いもなく、いや、むしろ以前以上に敵として容赦なく向かい合える。
(こ奴に慈悲を向ける気にはならない。 ……今一度滅ぼすか?)
淡々としたガインの思考。
見つめ返しているだけで、ジャン・ジャックの放つ殺意を、冷静に押し返せる。
それはガインにとって、奇妙な感覚であった。




