頼みがある
ガインはアリスを見る。
今のガインにとって、アリスの存在は大きい。
ガインは自分の生い立ちに苦悩してきたが、アリスからはそういった葛藤はかんじない。
それどころかアリスは、魔人であること、アリス自身であることに誇りを持ち、圧倒的な自己愛さえ垂れ流す。
見た目からして美しいアリスが自分に自信を持つのは、当然のこと。
そうガインは思っていた。
そしてガインは、己を醜いと思っていた。
種族も下等種とされがちなゴブリン。
美しく、上位種である魔人のアリスとはあまりにも違う。
だが、だから何だというのだ。
アリスはアリスとして生まれた。
それは羨む様な華やかな生に見える。
だがガインにも、アリスにないものがある。
生みの親がいて、育ての親がいて、義妹がいる。
自分では醜いと思っても、そう見ない者もいる。
義妹ユウがそうだった。
「己は己で、恵まれているのだ」
ガインの半生は、嫌な思いばかりしてきたわけではない。
特異な環境で育った為に苦悩もした。
だが、特異な環境で育ったおかげで、誇れるところも生まれた。
醜いと思っていた自分の頭に抱きついた、幼い頃のユウを思い出すガイン。
(あの子は己を慕ってくれる。 だからこそ己は)
「あの子と対峙し討たれる時、敵として正面から受け止め、心は義兄として愛を携え、やすらかに逝くのだ。 アリス、友として頼みがある」




