ここからなのだ、己(おれ)は
(何という力だ)
プレはもちろん、ガインまでもがこの一撃に驚いた。
(力が漲る)
ガインはレブナントとなり、強くなってはいる。
だがかんじている力の実感は、身体能力の向上によるものではなく、精神的なものであった。
「力が、漲る」
先刻思った言葉を、そのまま口にするガイン。
心が軽くなり、体が軽くなった気がした。
「あの時に次いで、迅く動けた」
そう思える一撃。
ガインにとっては、過去最速の一撃は、デシネに加えた一撃であった。
今より全てにおいて劣っていたはずの、あの時のガイン。
しかし、あの一撃が最も速かった。
それがガイン自身にもわかった。
「今の一撃、申し分なかったが」
レブナントとなって身体能力が向上し、そこに心が乗った会心の一撃であったが、あの一撃には及ばなかった。
自分の心と身体。
その本領を発揮し、最高最速の一撃を繰り出したあの時のガインは苛烈だった。
だからこそ。
「あの一撃には及ばなかった。 俺の本質は、魔物だということだな」
やはり自分は魔物。
その実感が、改めてガインの心に刻まれる。
しかしそこに後ろ暗い感情はない。
天使に真正面から打ち勝ったという自信。
それを超える一撃がかつてあったということは。
「己は魔物で、聖騎士となった。 かつては生い立ちに悩み苦しんだが、今は魔物だろうと聖騎士だろうと、俺の育ちが何であろうと構わないと思っている。 今の己があの時の闘志を、剣に拳に乗せることが出来たならば、今まででにない高みに行けるだろう。 ここからなのだ、己は」
今の強い自分ならば、もっといけるはずだ。
高みの先には、義妹へのけじめが待っている。
(己は強くなり、あの子と全力で対峙せねばならん)
ガインの気持ちは変わらない。
義妹ユウの親を殺した贖いをするのだという気持ちは変わらない。
だが。
かつての様な暗い気持ちではない。




