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ゲブ・ズ・ガイン、参る
突撃するガインの持つ大剣の切っ先はプレに真っ直ぐ向いている。
それはまるで進む先を見つけたガインの心を表している様に。
素直で、剛直で、しかし迷い、惑うガインの今が込められた一撃。
プレは受け流そうと、長剣アプリコットソードを斜に構えた。
「来い、ゴブリン!」
激突の直前、プレがガインに浴びせた言葉は、種族名だった。
ガインを名で呼ぶでもなく、聖騎士と呼ぶでもなく、種族名ゴブリンと呼んだプレ。
そこに他意があるわけではない。
そしてそれはガインの耳に入る。
だがガインは怒りも悲しみも寂寥の感情も抱かず、眉をしかめることもなく、ただ真っ直ぐにプレを見据えたまま。
「ゲブ・ズ・ガイン、参る!」
ゴブリンで、聖騎士で、ゲブ・ズ・ガインという名の一人の騎士は、自分の全てを受け入れ、そして、その上でゲブ・ズ・ガイン個人として戦うことを心に決めた。




