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今はお前と共に
アリスの言葉から、ただただストレートな感情だけをかんじたガイン。
思ったままをそのまま言葉にされたのだという実感はこれ以上ないほどに心を晴らす。
「お前はいつも、己を導いてくれる」
そのガインの一言を聞き取れたのか、聞き取れなかったのか。
アリスは何も答えず、だが、どこか得意げな顔でガインを見つめている。
ガインの心に靄がかかり、そして晴れたのは何度目か。
もうガイン自身にもその回数はわからない。
だがきっとこれからも。
(己はきっと、これからも幾度も迷い、惑うだろう)
魔物と人間のはざまでガインは揺れるだろう。
それはガインが人間に近い心を持っているからこその揺らぎだ。
(これは己の心の弱さだ。 だが)
ガインは思う。
(己は一人ではない)
ガインはゴブリンだ。
神殿で育てられたゴブリンだ。
周りは人間ばかりだった。
親代わりであったルレットは、ガインと義妹のユウを分け隔てなく育ててくれたし、ユウはガインを義兄として慕ってくれる。
(己の家族は人間で、そして)
「お前と己は道を同じくしても、違えて対峙しても、“ダチ”なのだな」
「おう」
「ならば今はお前と共にあろう」
ガインが大剣を弓を引き絞る様に、プレへ向かって水平に構える。
「秘剣、風雷牙」
大剣の刀身に電光がはしる。




