ほんならやめたらええやん
急くアリスの気持ちはわかる。
今はまだ戦闘中で、悠長に話している時ではないからだ。
そう考えたガインは大剣を構え、プレに斬りかかった。
大剣の一撃をアプリコットソードで受け止めるプレ。
(くっ、重い一撃! ゴブリン風情が、どこまで強くなるんだ……!?)
アリスの死人覚醒魔法で死人となったガインの強さは、先刻までの比ではない。
天使プレが戦慄するほどの力を得たガインは、もはやゴブリンの枠をとうに超えている。
剣撃を加えながら、ガインがアリスに目配せする。
「まあ聞け。 俺たちはパーティだ。 己が神殿に弓を引いた場合、魔人のお前が黒幕ということにされるだろう」
「いきなり何何? 何の話だか、とんとわからんわ」
何の思慮もないアリスの返答は、どこまでも素直だ。
そのストレートさに笑むガインの大剣と、剣撃を険しい顔で凌ぐプレのアプリコットソードがぶつかり、何度も大きな金属音を発する。
「いいから聞け。 俺たちが今囲んでいるのは天使。 神の使徒だ。 神の使徒に聖騎士の俺が攻撃するのは、本来許されることではない」
既にプレに攻撃しているガインの腹は決まっていると言っていい。
だがガインは、あえて口に出してみたかったのだ。
アリスがどう言うのか。
果たしてほしい言葉をくれるものなのか。
それをガインは知りたかった。
そしてアリスが口にしたのは。
「ほんならやめたらええやん」
ガインが予想もしなかった一言。
だが、アリスらしいといえばアリスらしい一言。




