急くアリス
ガインは人間ではない。
ゴブリンだ。
それは永遠に変わらない。
故に、どこまで行っても人間の社会の中では報われないだろうという気持ちがどこかにある。
どれだけ人に尽くしても、人間にはなれないのだから。
その寂しさが頭をよぎり、ガインの声に少し溶け込んだ。
アリスはそれを詳細にかんじ取ったわけではない。
だが、寂しげな声に気付かないわけでもない。
ガインが本当に“今聞きたい”のがアリスにはわかった。
「……何を聞きたいんやお前」
だからこそ、不意に真顔になるアリス。
そこにはもう、怪訝な顔はない。
ガインは少し、ほんの少しだけ眉間に皺を寄せ、泣き顔の様な笑みを見せた。
「己は聖騎士だ。 それは知っているだろう」
(いきなり何の話や? まぁ……)
「知っとるけど」
アリスは目をしばたかせるが、表情は変えない。
今はなるべくガインの話を聞こうとしている。
アリスが素直に聞く姿勢を取っていることをかんじたガインは、感謝の気持ちと、少しの申し訳なさでしばし目を閉じた。
「その己が天使に弓引くのは、神殿に弓を引くことと同じだ」
「それがどうしたんや」
すかさず返答したアリスの声からは、聞く姿勢ではありながら、困惑と苛立ちの気持ちが入っていることがガインにはわかった。
「なぁ? それが何や」
答えを急く雰囲気がアリスにはある。
するとガインはゆっくりと口を開いた。
そした落ち着いた口調で話し始める。
急くアリスにゆっくり返答するのは、どこか、すかす様でもあるがしかし、ガインは真正面から向き合う。




